今時のフライヤーを考える


ピアニストの彼女がリサイタルで使用した写真

以前にも同じような記事を公開していますが、改めてまた記して見たいと思います。


カメラマンとしての立場からの話です。


私は今までもたくさんの演奏会用チラシの写真を撮影してきました。

それが来場される多くの方の目に焼きつき、イメージされていると思うと責任を感じると同時に少々怖いなとも思います。


チラシに限ったことではないのですが、例えばプロフィール写真にしても同じ事が言えて

初めてこのアーティストをみる人がその写真からイメージする人間像がどういうものになるのか?はとても重要だと思うのです。


もし、周知のアーティストであったとしても、普段は見せない意外な一面を見ることもあるでしょうし、アーティストとしての「その人」を別の次元・レベルで見ることになります。




ほとんどのアーティストは私が撮影した写真を使ったチラシをわざわざ送ってくれます。

それに演奏会のチケットを「ご招待」として同封してくださる人も少なくありません。


せっかく頂いたチケットなので、できる限り伺うようにしています。

そしてホールのロビーなどで、そこで今後開催されるリサイタルのチラシをよく見ます。


まず少し離れた場所から全体を眺めるのです。

そこで気づく事があります。


まず、どれもほとんど同じようなチラシである事。

つまり、個性的と言えるようなものが少ないのですね。


それぞれの写真はとても綺麗に撮影されていて良い写真です。

でも全体を構成する「チラシ」としての個性が乏しいのです。


私はマーケティングを勉強し始めてから広告にも興味を持ち、色々と勉強しています。


アメリカのある調査会社が色々な角度から広告に関する調査をしているデータがあります。

まぁ、20世紀のデータなので少々古いですが、それでも今の人間心理にも通じるものがありますから私はよく参考にしています。


ただ、このデータはアメリカにおけるものなので、やはりお国柄も出てしまうと思っています。

特に写真やイラストの好みは日本人とアメリカ人では大きく違いがあります。


とは言え、3000近いサンプルを集めてのデータなので無視することはできません。


もちろん、このデータが全てではありません。


ただ、私が言いたいのは「他人と同じことをしていては埋もれてしまう」ということです。



例えば、上の写真は私が長いことお世話になっているピアニストですが、彼女は自身のリサイタルのチラシにこの写真を採用しました。


まず、何が驚いたかと言えば


・完全なオフショットである

・横位置の写真を使い、横位置のチラシにした


ということです。

そして全体を「黄緑色」にしているという点も驚きでした。


実を言うと、この写真はフライヤー用の写真として撮影したものではありませんでした。

私が彼女にお願いをして、私の趣味の範囲で撮影している「女性ポートレイト」のヒトコマなんです。


もちろん画像の扱いは自由と言う約束なので、これを使うことには問題はないのですが、撮影している段階ではそれを想定していませんから私も自分のイメージで撮影しています。



後になって彼女にその理由を聞きました。


『とにかく、暖かいイメージが欲しかった』


とのことでした。リサイタルは10月開催予定。この写真はその前年の10月末に撮影したものです。少し肌寒くなり始めた頃でニットを羽織っていますが、この頃の午後の日差しは独特の色をしていて本当に綺麗です。


その色合いとニットの暖かなイメージが彼女の欲しかったイメージと合致したのだと思います。

それにしても勇気のある選択ではなかったのか?とも思いますが、本人は至って普通。


『直感ですよ♪』


とケラケラと笑って話してくれました。


そしてリサイタル後には


「あのチラシ、とっても評判良かったんですよ!」


と言ってくれました。それがまた嬉しかったです。





さて、話を戻すと・・・


もし、この彼女のチラシがホールのロビーにあるスタンドにあったとしたら?


かなり目立っていたと思います。

少なくとも黄緑色のチラシはそうそうあるものではありません。


そして独特の雰囲気を持った写真。

多くのチラシはスタジオで撮影された背景が黒か白のフォーマルな写真です。

もちろん演奏者もドレスなりフォーマルなりを着用しています。


その中の一つがこれだとしたら?


確かに全ての人がこれを肯定するとは思いません。

やはりリサイタルなのですからフォーマルな印象にするべき!と言うご意見も納得します。


しかし、他に埋もれない工夫は認めることができるのではないでしょうか?



さて、今時のフライヤー事情はどんなものなのでしょう?

私も少し興味が出てきました。


撮影するカメラマンとして自分なりに考えてみたいと思います。。。










© 2023 by Urban Artist. Proudly created with Wix.com