【Silver & Sound -音楽家を刻む銀塩写真】モノクロフィルムで撮影する音楽家
- とまるおさむ
- 4月12日
- 読了時間: 2分
#006:〜30年の空白、たった一つの憧れ。― 私はトランペット奏者を撮りたい〜

30年間の「忘れ物」と、私のVincent BACH
あらゆる楽器を撮り尽くした私のポートフォリオ。 そこにある空白。それはトランペットです。 ……私の部屋にも、30年以上眠り続けている Vincent BACH があります。 時々息を入れてみますが、かつてのように思うようには鳴ってくれません。 ……悔しいけれど、私の唇は忘れてしまったようです。 でも、この楽器が捉える一筋の光は、40年前と少しも褪せてはいませんでした。

完璧な二刀流、W.マルサリスへの憧憬
中学生の日から、私の中の憧れはウィントン・マルサリス。 ジャズの熱狂と、クラシックの静謐な完璧さ。 その二つを全く別人のように吹き分ける彼のハイドンの協奏曲を聴いたあの日から、
私にとってトランペットは特別な存在になりました。今でもそれは変わりません。
私の指はもう動かない。
けれど、私のレンズは、あの『金色の真実』を写すことができる。
……金属の冷たい質感、スポットライトのハイライト、掠れたジャズの粒子。
その矛盾を銀塩で刻み込むこと。それが、今の私が果たすべき『演奏』なのです。

奇跡の巡り合わせ、運命の「背中」
そんな思いを抱えながら、今年初め、ピアノ協奏曲コンクールの撮影に赴きました。
リハーサルの静寂。後ろ姿で楽器を構える彼女に出会いました。
顔が見えない姿がかえって彼女の奏でる音への集中力を高め、
スポットライトに浮かび上がるトランペットの金属質の輝きは、まるでマルサリスのような凛とした光を放っていました。
彼女と話をすると、彼女の師匠は私の高校時代の先輩でした。
日本有数のオーケストラで奏者として活躍し、後進の指導もしているその先輩のお弟子さんだったのです。
……遠い昔、同じ学び舎で汗を流した先輩の、その魂を継ぐ若い才能。
30年の沈黙を破り私が最初に出会うべくして出会ったトランペット奏者です。 これは、デジタルで撮りましたが、次は私がモノクロフィルムで撮影するはずです。
魂のアンサンブルを求めて 〜モノクロフィルムで撮影したいトランペット奏者〜
これは仕事の募集ではありません。
私の30年のキャリアと、かつての少年の憧れをぶつけるための、真剣な『作品撮り』のお誘いです。
ジャンルは問いません。
あなたの吹くその一音を、私がモノクロフィルムで撮影する作品としてあなたの記憶に、
そして私のポートフォリオに刻ませてくれませんか?


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