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【Silver & Sound -音楽家を刻む銀塩写真】モノクロフィルムで撮影する音楽家

#016:その背中が語る、音の行方。――楽器ケースという名の、音楽家のステータス


楽器のケースを背負い細い路地を歩く女性

街中の雑踏や電車のホームで、ふと大きなチェロのケースを背負った女性や、細身の管楽器ケースを抱えた人を見かけると、ついつい目で追ってしまうことはありませんか?

その瞬間に感じるのは、単なる「荷物を持っている人」への興味ではなく、一種の「憧れ」に近い感情かもしれません。

ケースの中に収められた、磨き上げられた楽器。

そして、それを守りながら歩く人の、どこか浮世離れした凛とした空気感。

今回は、あえて「楽器そのもの」ではなく、それを包む「ケース」が語る音楽家の肖像についてお話しします。



重厚な建造物の前で楽器ケースを持って佇む女性

知る人ぞ知るサイン〜ケースに隠された、もう一つのプロフェッショナリズム


大型楽器ならいざ知らず、小さなケースが何を運んでいるのかは、一般の方には分からないかもしれません。

けれど、少しでも楽器に触れたことがある人なら、その形状や持ち方で「あ、フルートだな」「彼女はサックス奏者だろうか」と直感します。

その判別ができる喜びと、判別される側の誇り。ケースを携えて街を歩く姿は、その人が音楽という特別な世界に身を置いていることを示す、無言の「名刺」のようなもの。

スタジオでの撮影では決して見ることのできない、日常に溶け込んだ音楽家のリアルな格好良さが、そこには宿っています。



南欧を思わせる路地を楽器ケースを背負い歩く女性


ステージを降りた一瞬に見る、音楽家としての『普段着』の美しさ


もちろん、宣材写真のメインは楽器を構えたカットでしょう。

けれど、CDジャケットの裏側やパンフレットの隅に、街角でケースを背負う彼女の姿があったなら…それは、遠い存在だった「アーティスト」を、ぐっと身近に感じさせてくれるはずです。

同時に、「この人は普段からこうして楽器と共に生きているのだ」というステータスを静かに証明してくれます。

一般の世界と一線を画しながらも、同じ空気を吸って歩いている。そんなバランスが、聴衆の心を惹きつけるのです。



ガス灯が並ぶ銀杏並木を楽器ケースを背負い歩く女性


物語を撮る、カメラマンとしての眼差し


今回撮影させていただいた彼女も、街の風景の中でケースを背負った瞬間、一人の女性から「音楽を生きる人」へとその空気を変えました。

私は、ステージの上の華やかな姿はもちろん、こうして重いケースを抱えて街を行く、泥臭くも気高い「日常」もまた、音楽家にとって欠かせない表現の一部だと思っています。

楽器そのものを写さずとも、その存在を強く感じさせる一枚。

そんな「語る写真」を、これからも共に作り上げていきたいと願っています。




高架橋の下でソプラノサックスを持ってポーズを取る女性

街で見かける「特別な存在」への視線


楽器ケースを背負う姿を撮るとき、私はその人の『音楽の重み』を撮っているような感覚になります。

ステッカーだらけのケースや、使い込まれて少し擦れた角など、ケースそのものがその人の「練習の軌跡」を物語っているようで、カメラマンとしてもついレンズを向けたくなる要素が詰まっています。

肩に食い込むストラップの張りや、少し前傾になる歩き方。

そのわずかな身体の動きにこそ、音楽と共に生きる人のリアリティが宿るのです。



この作例のようにモノクロフィルムで撮影してみたい方、

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