【Silver & Sound -音楽家を刻む銀塩写真】モノクロフィルムで撮影する音楽家
- とまるおさむ
- 12 時間前
- 読了時間: 3分
#020:私の楽器は、1951年生まれ。時間を写し止める「レンズ」の話

道具へのこだわりは、音色へのこだわりと同じ
音楽家のあなたが、愛器の木目の美しさや弦の響き、或いはマウスピースの微妙な形状にまで魂を込める様に、写真家にとっても「道具」は単なる記録の手段ではありません。
私が特に大切にしているのは、レンズを通る「光の質」です。
写真の質感は、現像液やフィルムで決まる前に、実は撮影したその瞬間にレンズが光をどう受け止めたかで決まってしまいます。
それは、奏者が楽器を手にした瞬間に、すでにその「音色」の方向性が決まっているのとよく似ています。

戦後を生き抜いたレンズ。
70年の時を越えて届く、格別のモノクローム
私が愛用しているレンズの一つに、1951年頃に製造されたと思われるドイツ製の「ゾナー(Sonnar)」があります。
1930年代に設計され、激動の時代を経て現代にまで残ったこの古いレンズは、最新のレンズのようなパキパキとした鋭さはありません。
その代わり、このレンズには他の誰にも真似できない「声」があります。
特にモノクロフィルムを通した時の描写は格別で、まるで60年以上前の空気が、令和の今にそのまま滑り込んできたかのような、しっとりとした気配を写し出してくれるのです。

ヴィンテージな音色を視覚化する。デジタルでは描けない『厚み』
添付した写真をご覧ください。
この柔らかでありながら芯のある描写こそ、私がこの古いレンズを使い続ける理由です。
最新のデジタルカメラで撮る写真は、確かに正確で美しい。
けれど、音楽家が奏でる「魂の震え」や「スタジオの湿度」までを写し込もうとした時、私はこの1951年製のレンズを手に取ります。
このレンズであなたの肖像を撮るということは、時間を重層的に積み重ねていくような、非常に贅沢な体験なのです。


驚きの一瞬。手のひらに伝わる『鉄の塊』の熱量
撮影の際、私はよくモデルになっていただく方に、このカメラを一度預けてみます。
小さな外見からは想像もつかないような、ズッシリとした重み。それを受け取った瞬間、皆さんは驚き、そして一様に「これは、まさに金属の塊ですね」と仰います。
かつてLEICAと双璧をなし、世界を二分した二大ブランドの一つ、Contax。
互いに認め合い、高め合ってきた歴史を持つこれらのカメラは、単なる記録道具ではありません。
その重量感は、60年、70年という時を経てもなお色褪せない「最高の瞬間を捉える」という当時の技術者たちの強烈な意志が、そのまま物質として凝縮された重みなのです。
共に「良い音」を奏でるように
「カメラ」というより、私にとってはかけがえのない「楽器」のような存在。
私たちが共に過ごす撮影の時間は、あなたが楽器を奏で、私がこの古いレンズで応える、ある種のアドリブ・セッションだと思っています。
流行り廃りに流されない、60年後も誰かの心に響き続けるような「音色」を、一緒に作り上げることができたら。その時、私のカメラは最高に幸せなシャッター音を響かせてくれるはずです。
この作例のようにモノクロフィルムで撮影してみたい方、
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モニターモデルを募集しております。
モニターなので撮影料金は一切不要。
モノクロフィルムで撮影された写真は数枚をチョイスして暗室プリントして差し上げます。
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