【Silver & Sound -音楽家を刻む銀塩写真】モノクロフィルムで撮影する音楽家
- とまるおさむ
- 5月4日
- 読了時間: 3分
更新日:5月5日
#022:カメラのフォーマットが描く「響き」の違い

目に見える「解像度」の先にあるもの
最近のデジタルカメラは画素数で語られることが多いですが、アナログの世界には、数字だけでは計り知れない『キャンバスの広さ』が生む魔法があります。
ピアノのサイズに例える「フォーマット」の正体
楽器に例えるなら、180cmのグランドピアノと、ホールにある276cmのフルコンサートグランドほどの違い、と言えば音楽家の皆さんには伝わるでしょうか。
どちらも同じピアノですが、その響きの深み、音の広がりは全く別物ですよね。
写真で見る「違和感」という名の美しさ
論より証拠、まずは4枚の写真を見比べてみてください。
1枚目は35mmカメラ、続く3枚は二眼レフ(6×6判)で撮影したものです。
画素数の多寡ではなく、キャンバスの大きさが生む『描写の重み』の違いが、そこに現れています。

背景の「OPEN」という文字や店内の様子が適度な情報量として残り、モデルさんの物語の一部として機能しています。中判に比べると被写界深度が深く、撮影者の「視線」がどこへ向いているかが伝わりやすい、親密な描写です。

床に寝そべるモデルさんの足元から背景へと抜けるボケの「なだらかさ」に注目して下さい。35mmではこれほど自然かつ急激にピントが外れていくことはありません。 一方で、フォーカスの来ている点から、その被写界深度に収まる範囲は見事なまでのシャープネスと解像度が保持されます。
そのため、自然に見る人の視線がそこへ行き、その描写から全体を見渡した時の『違和感』
が生まれます。

階段の斜めのラインと人物の立ち姿。正方形の構図は上下左右に「逃げ道」がないため、被写体の存在感が中心に凝縮されます。

逆光気味の光の中で、肌のトーンが壊れずに粘り強く描写されています。 これは大きなフィルム面積が光のグラデーションを余裕を持って受け止めている証拠です。
表現の選択肢としての「不便さ」
確かに機材は重く、撮影できる枚数も限られます。
しかし、スタジオでじっくりと被写体と向き合う時、その『不自由さ』は表現を研ぎ澄ますための贅沢な時間へと変わります。

イメージを形にするための「道具選び」
今回紹介した写真はウィッグとヘアアクセサリーの広告撮影の際にお願いして二眼レフカメラで撮影させてもらったものです。
プロのモデルさんとの仕事でも、私はその場の空気感や目指すイメージに応じて、これらを楽器を替えるように使い分けます。
デジタルでは到達し得ない、モノクロフィルムで撮影される中判カメラ独自の『響き』。
皆さんは、どちらの描写に惹かれますか?

広告撮影の合間に。 この巨大な二眼レフ(Mamiya C330 Professional S)と格闘している姿を、モデルさんがいつの間にか撮ってくれていました。
この写真のように、カメラを上から覗き込んで、モデルさんと向き合う。
この独特な撮影スタイルも、被写体との距離感を変え、あの不思議な描写を生み出す要因の一つなんです。 この不自由さこそが、愛おしい描写を生むのです。
機材が揃っているからこそ、その不自由さすら愛おしく、イメージに合わせて選択できる。そんな贅沢な試行錯誤を、これからも続けていきたいと思っています。
この作例のようにモノクロフィルムで撮影してみたい方、
募集しています
モニターモデルを募集しております。
モニターなので撮影料金は一切不要。
モノクロフィルムで撮影された写真は数枚をチョイスして暗室プリントして差し上げます。
ぜひ、レッスン室や自室に飾って下さい。
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